STORIAではリフォームに持ち込まれる指輪がたくさんあります。その多くは30年ほど昔の婚約指輪。「高価なもの」であるがゆえに使われた形跡はほとんどなく、ずっと大事にしまってあったのだなということが伝わってきます。お話しを聞くと「(しまいこんであるダイヤモンドの指輪のことを)気にはしていたけど、今どきこんなデザインの指輪は使えないから大事にしまっておくしかなかった」という方がほとんどです。
リフォームの接客は、ときに心をほっこりさせてくれます。今回は忘れられないリフォームのお話しをみなさんに伝えたいと思います。
《目次》
1. 娘の20歳の記念に
2. お嫁さんを大切に思う気持ちを形に
3. 永遠の愛とこれからの幸せを願って
4. 今回のまとめ
娘の20歳の記念に
男性一人での来店でした。古い指輪の箱を取り出して「このダイヤモンドを娘に渡したい」とのこと。奥様が他界した後、男手一つで娘さんを必死に育ててきたそうです。「娘が20歳になるから、何か記念になることをしてあげたいけど、こういうとき男ってどうしていいのかわからないんですよねぇ。せっかくだから、このダイヤモンドで何かできたらいいなと思って持ってきたんですけど」と、奥様にプロポーズしたときのダイヤモンドの指輪を取り出して見せてくれました。婚約指輪の相場が「給料の3ヶ月分」だった頃のダイヤモンドは大きくて存在感たっぷりのものでした。
迷わずお勧めして、迷わず決めていただいたデザインは、「マザーズハンド(母の手)」と呼ばれるネックレス。キラリと光るダイヤモンドをまるで母の手で包み込んでいるかのようにプラチナで囲ったもの。お父さんがお母さんにプロポーズしたときに渡したダイヤモンドを今度は娘に、しかもお母さんの手でしっかり守られているかのようなネックレス。お守りとしていつも・いつまでも娘さんの胸元で輝き続けることでしょう。
お嫁さんを大切に思う気持ちを形に
「息子が結婚することになってね、そこで相談なんだけど・・・」とご夫婦での来店。先方から結納はしなくてもいい、結納金もいらないと言われたものの、「何もないっていうわけにはいかんでしょう。大事なお嬢さんをお嫁さんにもらううちとしては・・・」とのこと。そこで、昔、お父さんがお母さんに渡した婚約指輪を出して、「これをお嫁さんになる子に渡したら失礼だろうか?」と相談にきてくれたわけです。いいえ、決して失礼ではありません。むしろ、喜ぶはずです。
婚約指輪はすでに息子さんが買って渡したわけですから、ご両親からはネックレスをプレゼントすることにしました。ダイヤモンドがとても高かった時代の指輪なので、大きさこそそんなには大きくないものの、カットがきれいでキラキラと輝きを放つダイヤモンドでした。そのキラキラと光るダイヤモンドをお嫁さんに見立てて、まわりを小さなダイヤモンドで1周取り囲んだデザインにしました。「あなたがずっとキラキラと輝き続けることができるよう、私たちはみんなであなたを守ります。安心してお嫁に来てください」というメッセージを込めて。
永遠の愛とこれからの幸せを願って
「このダイヤ、本物?お父さん、本当に本物くれた?」と言いながらご夫婦で来店。「本物じゃなかったら大問題だ。えらい高かったことだけは覚えとる。ほんだけど使っとるとこは見たことないもんで、なくしたのかなぁと思っとった」とお父さん。ルーペで確認したところ、確かに「本気」の本物のダイヤモンド。「指輪はまぁいいわ。こんな手には似合わんで」と言うお母さんの意思でネックレスにリフォームすることに。たくさんのネックレスの見本を前に値段を気にしつつもあれこれと目移りするお母さんの横で、お父さんが一言。「これがいい。リフォームするなら金が少々高くてもこれがいい」
お父さんが選んだのは8の字の中にダイヤモンドをあしらったデザイン。「横にしたら永遠∞のマークだし、8の字は末広がりで縁起がいい。さっき着けたの見たらお母さんによく似合っとった」とお父さん。
まさに「プロポーズ・アゲイン」でした。
今回のまとめ
たんすの中で何十年も眠り続けてしまったダイヤモンド。デザインは古くても今どきの指輪やネックレスにリフォームすることで輝きを取り戻し、それを身に着ける人に喜びや安心を与えるものとなります。ダイヤモンドは高価なものだからこそ、しまいこんでしまうのはもったいない話。娘さんに、お嫁さんに、もう一度私が・・・。ダイヤモンドとともに輝いてください。